吾輩はクズである
土曜日の朝7時。
時間に厳しい会社に勤めているせいもあってか、週末でも1度は起きてしまうクセがついた。
ケータイを確認し特に異常も出来事もないのを見てまた寝につく。
今週はすぐに2度寝が出来た。大きな仕事や試験が終わったのもあったからか、ぐるぐると考えこむこともなく眠りにつけた。
10時に起きた。溜まった洗濯物や「ミコ」の湿度管理もしてあげなきゃならない。
20分ぐらいアレしなきゃコレしなきゃと考えながら天井のシワを眺めていた。
立ち上がる力は100mを全力疾走するよりも大変で、勢いを付けつつ何度も挑戦する。
「今日はワインが届く」
どうでもいい理由付け立ち上がった。
立ち上がりさえすれば、流れ、だ。霧吹きで湿度を上げ、ゴミを集める。
この平日で出たゴミは、大体はお酒の缶か、マクドナルドの紙袋。ビニール袋が有料になってから、日頃入れないような力を入れて、ストレスを吐き出すように小さな袋に詰めていく。
ゴミ捨て場に行きながら財布も持ち歩く。
今日の競馬費用をコンビニに預け入れにいく。
ジャージに蛍光色のサンダル。外は雨が降っていて足元が濡れてくる。
髭も剃らず、髪も整えずにATMに向かう。
朝っぱらからギャンブルをすることに、いつの間にか恥ずかしさはなくなっていた。
1万円入れるつもりだったが9千円にしていた。
負け続けた身は午後を理解していて、残りの千円はワインのつまみを買っていた。
死んだような目で明らかに数十分前に起きた格好。アジア系の店員には一体どんな風に写っていただろうか。
帰ってきて宅配ボックスにワインがあることに気付く。
飲みながら競馬をしよう。
部屋に戻る階段を登りつつ、今日の予定を考える。いつもの通り。変わらない休日。登っているはずが、気持ちは沈んでいた。
もうすぐ土曜の午前が終わる。会社からもらった48時間の休憩は、残り36時間になっていた。
何もない、今日がまたゆっくりと確実に終わっている。
吾輩はクズである。
洗濯はまだしてない。